意外と知られていない話

24時間換気システムの『給気口』閉めたままになっていませんか?

寒いからって締め切っていませんか?各部屋に設置されている『給気口』は常に開けて住宅に呼吸をさせてあげてください。

新築一戸建てへのエアコン取り付け工事の依頼が多いので、必ず目にする24時間換気システムの給気口ですが、驚いたことに多くのお客様が吸気口を閉めたまま生活を送っています。この給気口は本来「開けっ放し」が前提で設置されているものなので「閉めたまま」ではいけません。せっかくの新築一戸建ての住宅性能や居住性を著しく低下させてしまうばかりではなく、健康被害にも繋がってしまうとても大切な設備です。今回は実例を交えながら吸気口についてのお話です。

24時間換気システム 吸気口 

そもそも24時間換気システムって何?

読んで字の如く、24時間換気をしてくれるシステム。言い換えると24時間365日勝手に換気を行ってくれる機構です。換気とはすなわち『空気の入れ替え』です。私が子供の頃は「ちょっと部屋の空気が濁ってるから空気の入れ替えしよっか?」なんて言いながら窓を全開にして部屋の空気を入れ替えていましたが、それを機械的に(強制的に)行ってくれるのが24時間換気システムです。

ただただ単純に空気の入れ替えを行ってくれる、という訳ではありません。人間と建物の健康を保つ役割を担う、とても大事な機構なのです。

昔と比べて、最近の住宅は『高気密・高断熱』の造りが主流です。『高なんちゃら・高なんちゃら』って聞くと何となく「なにそれ?すげぇ!」と思ってしまいますが、高気密高断熱になった反面『建材の塗料や家具家具から発生する有害物質』『生活臭・ペット臭・生ゴミ臭』『水蒸気』など、様々な物が部屋にこもりやすくなりました。『シックハウス症候群』や『カビ・ダニによるアレルギー』や『結露』といえばピンとくるかもしれませんね。

昔の隙間風だらけの住宅では上記の事は問題になりませんでしたが、「高気密・高断熱」の影響で健康被害が相次ぎ、『平成15年7月1日以降に確認済証が下りた新築住宅には24時間換気システムの設置が義務化されています』、つまり今現在の新築一戸建て(新築マンションも含む)には24時間換気システムが必ず設置されています。

いやいや、ウチにはそんな大層な物ついてないよ?って方、お部屋や外壁をじっくり観察してみてください。以下の写真のような物があると思います。

↑室内側 閉まっている状態

↑室内側 空いている状態

↑比較的マンションに多い形状 中央のツマミを回して開閉するタイプ

↑外壁側のガラリ・フード

これら全てが24時間換気を構成する設備です。トイレやお風呂、台所に換気扇があると思いますが、これらも24時間換気システムの一員(仲間)です。

『給気口』と『排気口』と空気の流れを作り出す『24時間換気システム』、この3つが正常に作動して初めて『24時間換気』が行われています。

約2時間で部屋全体の空気が入れ替わるように計算・設計されて設置されています。

 

24時間換気の吸気口の多くは閉められているという現実

非常にざっくりですが24時間換気システムがどういうものかお分かりいただけたでしょうか?

ここで本業のエアコン工事の話に戻りますが、新築一戸建ての住宅にエアコン設置工事に伺い、約8割の方がこの24時間換気の吸気口(あるいは排気口)を閉めたままにしています。エアコン取り付け位置の最終確認を行ないながら吸気口が閉まっているのを横目で見て、窓のサッシを確認すると大体が結露を起こしてビショビショになっています。(冬期のみ)

こんな状態です。

サッシ上部

サッシ下部

お客様も気がついていないことが多く、それとなく尋ねると驚きの返答が・・・。

私
お客様、そちらの24時間換気の給気口って閉めっぱなしにしてますか?
あ、はい、販売元の担当の方が「寒いから開けなくても大丈夫です」って言ってたので・・・。
お客様
お客様

嘘のような本当の話です。

24時間換気の給気口は開けっ放しでお願いします。

 

開けておかないとどんな事が起こるの?

24時間換気の給気口(排気口)を閉めっぱなしにしていると起こり得る弊害は大きく分けて3つです。

1,結露によるカビの発生

住宅の中で生活する上で、私達は様々な種類の「湿気や湿度」を作り出しています。浴室や台所はもちろんのこと、私達人間からも大量の湿度が放出されています。また、室内と室外の寒暖差による温度差によって生じる結露や、エアコン内部でも夏場は大量の結露が起こっているのでエアコン本体からも「湿気」が放出されています。(エアコン内部で発生した水分の多くはドレンで室外へ排出されますが、運転停止後などは室内機から湿気が放出されます)

様々な湿気や湿度がお部屋内にこもり、カビの発生を促したり木材の建材を腐らせたりします。一度発生したカビは湿気をエサにして更に範囲を広げます。当然エアコンの室内機もカビだらけになります。

2,二酸化炭素の停滞による倦怠感

人間は常に呼吸をしています。呼吸をしながら二酸化炭素を放出しています。二酸化炭素が充満した部屋にいると頭がボーッとしてしまいます。眠くなったり怠くなったりしますよね?空気の入れ替えは大事ですね。

 

3,有害物質による健康被害

住宅を形成する建材(床材・壁材・壁紙などなど)や家具等から、シックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒド等の揮発性有害物質が放出されています。国が24時間換気の設置を義務付けるくらいですから無視できない問題ですよね。

 

24時間換気の給気口を開けて健康的な生活&住宅を守りましょう

もう一度お部屋の隅々まで見回して「給気口」を開けてください。新鮮な空気をお部屋に取り込んで停滞していた「悪い空気」を追い出して健康的な毎日を送りましょう。

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  • この記事を書いた人

yu-ki

当ブログの管理人の清 祐樹(せい ゆうき)です。 エアコン工事・ロープ高所作業の専門業者、株式会社クアトロテクノサービスの代表取締役社長です。

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