その無料現地調査って意味あるの?
エアコン工事を依頼した際の無料の「事前下見」「事前現地調査」ですが、本当に無料で大丈夫なのでしょうか?
いきなり結論からですが、はっきり言って『無駄』です。時間の無駄です。
※注意※現地調査には有料・無料とありますが、本ページで言っているのはあくまで『無料現地調査』の場合です。
店頭でのエアコン購入時、ネットでのエアコン購入時、事前現地調査(下見)を進められることがあります。また、お客様から依頼することもあるかと思います。
エアコンの取付に少しでも不安があったら実際に取り付け場所を見てもらって設置可能かどうか、どのように設置するのかなど、プロに見てもらって安心したいですよね?特に新築一戸建・3階に室内機地面に室外機設置・高断熱高気密住宅の場合など、新築マンション・室内化粧カバー・マンションダクトなどのエアコン設置の場合、非常に神経質になってしまいます。
何故かと言うと、一生に一度の買い物であることが多いからです。そんな中、エアコン工事会社のホームページなどを見ると大体が『無料で訪問します!』と記載があります。
「よし!無料なら下見依頼しちゃおうかな~♪」
と、安易に考えるかもしれません。ですが、よく考えてみてください。人が車とガソリンを使って移動してプロとして下見調査を行うのに無料??ありえませんよね?まともな調査を行ってもらえるとは到底思えません。「無料」の裏には何が隠されているのでしょうか?実際はどのような感じで「無料事前調査」は行われているのでしょうか?お客様から聞いた話をいくつか紹介します。(多少脚色してあります)
無料現地調査の実態
その1
都内の新築一戸建て・3階建て・高気密高断熱住宅・こだわりの注文住宅
狭小地住宅・旗竿地住宅
隣地との境界線(有効スペース)40センチ以下・隣接してお隣さん駐車場あり
室内機3階→室外機は1階地面に設置希望
1階に2台 2階に1台 3階に3台設置希望
足場撤去済み(建物の引き渡し後工事)
インターネットで探した信用できそうな会社に下見依頼
下見に来たのは作業着姿の職人さん風の若いお兄ちゃん。
挨拶もそこそこに各部屋の室内機の設置希望位置を見て回り、外へ出て室外機の設置希望箇所を見て回り、、、
若いお兄ちゃん
「はい、問題無さそうですね、コンセントがあるんで多分取り付けできると思いますよ?」
お客様
「えっ?もう終わりですか?図面とか見なくて柱とか筋かいとか確認しないで大丈夫なんですか?注文住宅だから間違いのないようにしてもらいたいんですケド・・・」
若いお兄ちゃん
「え~っと、はい、まぁ、大丈夫っスよ。自分は工事しないんで、当日はプロの職人がきて工事するんで多分大丈夫ッスよ。」
お客様
「へっ!?うちは高気密住宅なんで穴の部分の処理の断熱性とか気密性とか心配なんですケド・・・、あと3階の部屋は外のハシゴをかけるスペースが狭いんですけど大丈夫ですか?」
若いお兄ちゃん
「はぁ~、、、まぁ、問題ないッス。自分よく分からないですけど、会社に行けって言われたんで見に来ただけです。ハシゴはあれッスね、お隣さんの駐車場からハシゴかける感じで良いんじゃないですか?それじゃ、帰りますね。何か不明な点があったら会社に電話入れてください。それじゃ!」
そんな感じで下見は終わったそうです。一言で言えば「見に来ただけ」。
結果的に暑い夏だったこともあり、その会社に依頼したそうです。ですが、いざ工事の日になって問題続出。
化粧ダクトの材料が足りずに工事が延期になった。
あれだけ言ったのに筋交いのど真ん中に穴を開けられた。
貫通スリーブ無しで設置されたから隙間風が酷い
無断でお隣さんの駐車場からハシゴを立ててお隣さんと重大トラブルになった挙げ句ハシゴの上から工具を落としてお隣さんの車がへこんでしまった。(賠償問題)
結局2階と3階のエアコンは「足場がないと工事できない」とのことで1階にしか設置できなかった。
途中キャンセルだからキャンセル料が発生すると言われ謂れのないキャンセル料金を取られた。
工事に来てくれた職人さんは「こんなの聞いてない」との一点張り。
どうでしょうか?出来の悪いコントより酷いですね。
その2
新築一戸建て・建売の分譲住宅
狭小地
ハウスメーカーの提案で足場があるうちにエアコン取り付け
1階に1台・2階に1台・3階に2台設置予定
ネットで見つけたエアコン工事の専門業者
下見に来たのは明らかに現場作業員(職人)ではないと思われるスーツ姿&バッチリ化粧の事務員風の女性。挨拶はうるさいくらいに丁寧、だが香水臭い。図面を確認したいと言われたので図面を手渡すと図面とにらめっこしながら設置箇所を見て回る。信用できそうだ。
事務員風の女性
「設置箇所はこの辺りでよろしかったでしょうか?しっかりと施工させていただきますね。」
お客様
「あ~、はい~、お願いします。」
「そういえば、3階の工事は大丈夫ですか?」
事務員風の女性
「足場がございますのでそちらを使用させていただき、施工させていただきますね。」
お客様
「素人目に見ても足場と壁が近くて作業がやりにくそうなんですけど大丈夫でしょうか?」
事務員風の女性
「そうですねぇ、ウチの職人になんとかやらせますのでお任せください。」
お客様は3階から1階まで真っ直ぐにダクトを下ろしたい、と考えていたようで足場と壁が近い事を凄く懸念されていたようです。真っ直ぐにレイアウトしようとなると足場が邪魔になってしまう箇所があったからです。
結果・・・
あれほど言ったのに足場が妨げになり、ダクトを真っ直ぐにレイアウトすることができず、カクカクと曲がりながら地面まで伸ばす事になった。
実際に工事に来てくれたのは男性の職人さん達で下見に来た女性の姿は見えず。
現場の職人たちは「足場が邪魔だな~」と嫌味を言っていた。
後日その会社のブログには『柱と筋交いとの位置関係、窓などを考慮しスッキリと仕上がりました!』と意味不明なことが書かれていた。(足場があるから真っ直ぐに下ろせなかっただけなのに)
曲がりが多くなった事によって追加費用が予想以上にかかってしまった。
現地調査は「無料」だったが、請求書に意味不明な『雑費』や『現場調整費』などが上乗せされていた。
うるさいくらいの丁寧な言葉(実際は変な日本語)と、後々思い返すと言っていることが矛盾している現地調査時の説明にまんまと騙された。
現地調査で言っていた事、その会社のホームページに書いてあること、その会社のブログに書いてあること、矛盾だらけのデタラメだった。
現地調査に来るのが実際に工事を行う職人ではない場合、端的に言ってしまえば『机上の空論』でしか無いので事前の打ち合わせ内容と実際の工事の仕上がりにズレが生じてしまうのは至極当たり前のことです。
その3
新築分譲マンション
居住空間を目一杯活用するためにマンション特有の室内梁がある
梁と配管穴(エアコンスリーブ)が近い位置にある
マンション購入時のオプションでエアコンを頼むと高額なのでお客様で業者を探している
室内機を設置したい箇所には「エコカラット」が貼り付けてある
別業者に見てもらった際、蛇腹(フリーコーナー)を使うということだったので蛇腹を使わない施行方法を模索していた。
近所の量販店に無料現地調査を依頼
下見に来たのは量販店の店頭スタッフ風のひょろっとした男性。「かしこまりした、○○させていただきますね」 「○○させていただいて、○○させていただきます」が口癖。別に何も許可してないし、それするのにいちいち許可いらないよ。とツッコミを入れたくなるほどくどいくらいの『させていただきます』。何か質問すると食い気味に『はい、それはですね』とこちらの話を遮って話し出す。
させていただきますスタッフ
「はい、こちらにエアコン設置させていただきますね。カバー?はい、施工させていただきますね~。」
お客様
「別の業者さんにはかなり特殊な環境だから蛇腹(フリーコーナー)を使わないと化粧ダクトはできないって言われたんですが・・・」
させていただきますスタッフ
「はい、大丈夫ですね。フリーコーナー無しで施工させていただきますね。別途費用を請求させていただきますがよろしかったでしょうか?」
お客様
「いや、店頭で全部込みって言われたんですけど」
させていただきますスタッフ
「はい、あ~、そうだったんですねぇ、じゃあ全部込みで施工させていただきますね。後は工事に来た職人に言ってください。それでよろしかったでしょうか?」
お客様
「あ~、え~っと、はい、じゃあお願いします」
色々不安があったが入居が近いということもあり、そのまま量販店にエアコン設置を依頼。工事当日、作業に来た職人から驚愕の一言が。。。「あ~お客さん、これねぇ、フリーコーナー使わないと取り付けできませんから注文して後日また工事に来ますね、じゃあ、今日は帰りますね~」
・・・はぁ?!
結局2週間後に工事になり、嫌だったフリーコーナーで設置され、見るも無残な仕上がりになってしまった。。。
そしてその3日後、突然エアコンの室内機が壁から落下してきた。エコカラットの壁に普通のネジで室内機据付板を留めてあったため、室内機の重量にエコカラットが耐えられなくなったためである。
エコカラットの面にエアコンを設置する場合、色々と考慮し少し特殊な施工を行う必要があります。スピード重視の量販店ではそこまで気が回らなったのでしょう。
以上。無料現地調査・無料下見の実態でした。
まとめ
そもそも「無料」で「人が働く」ということ自体がおかしいのですが、実際はその無料と引き換えに大切な何かが失われている、と考えたほうが良いかもしれませんね。それは「安全性」であったり、「施工精度」であったり、「信用」であったり。無料の裏には必ず何かしらのリスクがあるということを考えてほしいです。
㈱クアトロテクノサービスの方針
クアトロテクノサービスでは『無料現地調査・無料事前下見』は行っておりません。
驚かれる方も多いと思いますがこれにはいくつかの理由があります。
弊社ではお問い合わせの際に設置環境を把握できるような資料をお客様にメールやフォーム経由で送っていただきます。具体的には建築図面(平面図・立面図・間取り図)とエアコンの室内機と室外機の設置箇所の様子が分かるお写真ですね。
いただいた資料を職人全員で精査し、最適な施工方法や施行プランを相談します、またそれらに穴が無いかチェックを行った後、専任になった職人の一人が概算見積書と施行のプランニングを作成し、お客様にメールにてお伝えいたします。
今までの多くの経験と実績があるからこそ可能な、現地に行かない概算見積書の作成と施行のプランニングです。
「実際に現地を見ないで本当に大丈夫なの?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが大丈夫です。いただいた資料を何度も何度も見て、何度も何度も頭の中でエアコンの取付工事を行いながら施行のプランニングをしています。現場で起こるであろうイレギュラーな事態も想定してプランニングをしているので、実際に現場で発生するありとあらゆる不測の事態にも対応できるのです。そのための道具や工具・特殊な材料など、準備万全に行い、工事当日を迎えるようにしているので言わば「万難を排した施行」です。
また、資料を自分で準備するのが面倒だ~、と仰るお客様もいらっしゃいますが。これにもちゃんと意味があります。
資料準備の過程で、例えばエアコンの室内機の設置箇所の写真を撮っている時、エアコンの室外機の設置箇所の写真を撮っている時、お客様の目で現地の環境を見るので今まで見えなかった部分や気にもしなかった事などの発見があるのです。
図面指示の通りの場所に室内機を設置しようと思っていたけど再度間取りや家具の配置などと照らし合せてみたら違う場所に設置する方が快適に過ごせそう、ということに気がついた。
とか、
「ここでいいや。」と漠然と思っていた室外機の設置箇所の写真を撮ろうと思って見ていたら目の前にお隣さんの花壇があったから根本的に設置箇所を見直さなければならないことに気がついた。
など、お客様ご自身の目で、そこに住む本人が生活スタイル等を踏まえながらエアコンの取り付けと向かい合うことによって今まで気が付かなかった非常に大事なことに気がついたりするのです。特に一戸建てへのエアコン設置の場合は最初に設置した位置が固定位置となり、エアコンの買い替え時もそこに設置するようになります。新築一戸建ての最初の工事が重要なのはそのためです。
私達職人はお客様の大切なご住居にエアコン設置をすることに真剣に真正面から向き合います、お客様ご自身もエアコン設置に関して真剣に向かい合ってほしい、と願っています。
「それでも心配というお客様」や「高所作業が絡む工事で現地を見ないとわかりにくい」場合は有料にて事前現地調査も行います。有料です、無料ではありません。お金をいただいて行うことですから私達も現地の環境をじっくりと調査します、職人一人では伺いません。最低でも2人以上の職人で伺います。